Grafana Labsは、Claudeを活用して、CTOからジュニアのサイト信頼性エンジニア(SRE)まで、あらゆる経験レベルのチームが自然言語による会話を通じて可観測性データを解き明かすのに役立つ、インテリジェントなマルチエージェントアシスタントを強化しています。
Grafanaは、Claudeを活用して以下を実現します。
2014年以降、Grafana Labsは組織がデータを視覚化および理解する方法を変革してきました。同社の包括的なスタックには、視覚化用の「Grafana」、メトリクス用の「Mimir」、ログ用の「Loki」、トレース用の「Tempo」、継続的なプロファイリング用の「Pyroscope」が含まれます。日常的なアプリケーションからダウンタイムが許されないリスクの高い環境まで、世界中の企業が重要なシステムを監視するためにGrafanaのツールを利用しています。
可観測性とは、分析と理解を必要とする数百万もの日次データポイントを処理することを意味します。従来のアプローチでは、クエリの作成、ダッシュボードの構築、複雑なワークフローの操作などに深い技術的専門知識が必要でした。この専門知識の障壁により、最も必要とするチームが有益な洞察を得られないことが多くありました。
「GrafanaのAIの進化は段階的に進歩しました。当初は、異常値の予測および検出を従来の方法で行っていましたが、インシデントの自動要約の提供、レームグラフの説明を提供するために、急速に生成AI分野に移行しました」とGrafana LabsのシニアプロダクトマネージャーであるMaurice Rochau氏は述べています。「これらのタスクのほとんどは、単一のプロンプト、単一のアクション、単一の成果というものでした」同社のチームは、可観測性の課題にはコンテキストとプロンプトを組み合わせ、複数のアクションを実行し、さまざまな結果を同時に導き出せる、より高度なソリューションが必要であることを認識していました。
チームは、Grafana Assistantを構築するにあたり、可観測性の技術的な複雑さを処理しつつ、あらゆるスキルレベルのユーザーが利用できるAIモデルを必要としていました。チームはマルチエージェントシステムを駆動する中核モデルとして、Claude Sonnet 3.7(間もなく4にバージョンアップ予定)とClaude Haiku 3を選定しました。
「Grafana Assistantの中核モデルとして、Claude Sonnet 3.7と Claude Haiku 3を活用しています」とRochau氏は説明します。「Claude Sonnet 3.7ではより技術的に複雑なタスクを扱い、Haiku 3 では単純な要約タスクを処理します」
Claudeは、データベースクエリの理解から正確な可視化の生成まで、可観測性データの微妙な要件を処理する上で一貫して優れたパフォーマンスを実証しました。このモデルファミリーのアプローチは特に有用であることが実証され、Grafanaは詳細なテクニカル分析と特定のユースケースに基づく迅速な対応の両方を最適化することができるようになりました。
包括的なドキュメントとGrafanaのオープンソースの特性により、実装は容易でした。「Claudeとの統合は、利用可能なドキュメントとベストプラクティスのおかげで、容易です」とRochau氏は述べます。Grafanaは、広範な公開ドキュメント、コミュニティへの貢献、コードを公開するオープンソース企業として、Claudeが自社のエコシステムを深く理解する能力から恩恵を受けています。この容易さにより、Grafanaはコンセプトから実用的なプロトタイプへと迅速に移行することができました。
GrafanaのAIアシスタントは、インターフェイス内でサイドバーとして直接動作し、ユーザーがどこで作業していても状況に応じたサポート提供します。このアシスタントは、Claudeの能力、Grafana固有のベストプラクティス、および可観測性ワークフローに関する深い理解を組み合わせています。
マルチエージェントシステムは以下の高度な可観測性タスクを処理します。
このアシスタントは、専門ツールを活用して、指標のクエリ、Grafanaビュー間の移動、問題のあるパネルの修正、複数のパネルにわたる配色などのビジュアル要素の調整を同時に実行します。
Claudeは、Grafanaの顧客が自身の可観測性データと関わる方法を変えています。このアシスタントは、技術的な専門知識と実用的な洞察との間に存在する従来の障壁を取り除き、あらゆるレベルのチームがデータを効果的に活用できるようにします。
「CTOやCEOは、経験豊富なSREのようにデータをクエリできるようになります」とRochau氏は述べます。この民主化により、戦略的意思決定者は、専門的な技術知識を必要とせず、またデータ分析に数時間も費やすことなく、洞察に直接アクセスできるようになります。現在では、ダッシュボードの作成などのタスクは自然言語による会話を通じて数分で完了します。これにより、チームはクエリ構文に苦労するのではなく、洞察の解釈とアクションの実行に集中できます。
お客様にとっては、これは可観測性に対する受動的なな対応から能動的な対応への転換を意味します。問題が発生したときに手動で調査するのではなく、チームは深刻化する前に問題を特定するインテリジェントな分析および推奨事項を受け取ります。
Grafanaは、AIが可観測性を根本的に変革することを思い描いています。「AIは可観測性の領域を大きく形作るでしょう」とRochau氏は予測します。「人間とエージェントの組み合わせは強力です。エージェントは関連するインシデントやデータを精査し、状況の包括的な全体像を提供し、人間は解決に専念します」
今後、Grafanaは、Model Context Protocolの統合をさらに検討し、顧客に可観測性の課題を解決するためのより多くのツールを提供できる、より深い機能の実現を目指しています。Anthropicとの提携で、同社は可観測性の限界を押し広げつつ、あらゆる規模の組織が深い洞察を確実に利用できるようしています。