Brex、Claude in Amazon Bedrockを活用して支出管理を再構築

Brexは、グローバルな法人カード、経費管理、銀行業務、旅行サービスを組み合わせた最新の財務プラットフォームとしてClaude in Amazon Bedrockを活用し、AI機能をコア製品に直接統合することで経費管理を変革しています。

Claudeを活用してBrexは以下を支援しています。

• 経費処理の75%を自動化し、業界標準の70%に対してコンプライアンス率は94%を達成
• 自動化により、顧客は経費と会計処理にかかる時間を毎月169,000時間節約
• お客様全体で年間給与コストを5,650万ドル削減
• AI主導の異常検出機能により、明細項目レベルですべての取引100%審査

AIファースト体験に向けた経費管理の再構築

企業がよりスマートに支出し、より迅速に行動できるように支援することを目的として、Brexは従来の支出管理アプローチが限界に達していることを認識していました。 財務担当者は経費の確認に膨大な時間を費やしており、従業員は主要な業務に集中するのではなく、煩雑なデータ入力に時間を浪費していました。 従来の方法では、マネージャーや監査担当者が数多くの経費報告書をクリックして確認する必要があり、その作業がなぜ必要なのか明確な背景が示されないことも頻繁にありました。

BrexでAI部門を率いるDavid Horn氏は次のように述べます。「すべての企業は、法人カードや銀行口座を持った瞬間から支出管理が必要です。 企業の成長に伴って変化するのは成熟度と複雑さのレベルだけです。 AIを活用することで、こうした複雑さのほとんどを抽象化することができ、財務チームと従業員の両方が真に重要な業務に集中できるようになります」

エンタープライズクラスの高い信頼性を理由にClaudeを選定

2023年からさまざまなAIモデルを検討した結果、Brexは技術力とAnthropicのモデル開発とセキュリティに対するのアプローチを理由にClaudeを選定しました。

Horn氏は次のように述べます。「Anthropicについて高く評価している点は、単にその強力なモデルだけではなく、同社が企業ニーズに合わせてモデルを位置付けていることです。 お客様とAIについて話すとき、第1の懸念事項は常にデータプライバシーです。これは機能について議論を始める前に対処すべき重要な土台です」

Claude in Amazon Bedrockを使用することは、Brexのエンタープライズ実装にとって有利に働きました。BrexのソフトウェアエンジニアであるJin Shao氏は次のように述べます。「Claude in Amazon Bedrockを導入することで、既存のAmazon Web Services (AWS) のインフラストラクチャとサービスとの統合がシームレスに実行できました。効果的なAIアプリケーションを構築するには、LLMモデルだけでは不十分です。ナレッジベース、迅速な管理システム、そして堅牢なセキュリティ管理が求められます。 Amazon Bedrockはこれらすべての機能を単一のプラットフォームで提供するため、統合のオーバーヘッドを削減できます」

AWS環境はBrexのエンタープライズセキュリティ要件に適合しています。これはBrexが過去1年間で80％増の売上を記録し、現在200社を超える上場企業にサービスを提供していることを踏まえると、重要な考慮事項になります。Shao氏は次のように続けます。「当社はすでにサービスとデータベースをAWS上でホストしているため、Claude in Amazon Bedrockの実装は当社のセキュリティ体制を維持した自然な拡張でした。この統合により、アクセス制御にAWS Identity and Access Management (IAM) を活用し、すべてのデータ処理を既存のセキュリティ境界内で維持することが可能になります。これは、機密性の高い金融情報を取り扱う上で不可欠な要素です」

BrexはAWS環境の運用効率性から恩恵を受けています。Shao氏は次のように指摘します。「Amazon Bedrockの効率化された実装と監視機能により、開発プロセスが加速しました。 新しいClaudeモデルがリリースされるたびに、迅速にテストを実施し、別途インフラを管理することなく実装を拡張することが可能です。これにより、当社のチームは複雑なシステムを管理することなく、顧客のために革新的な体験の構築に注力できるようになります」

Claudeがインテリジェントな経費管理を推進する方法

Brexは、AIを中核に据えたプラットフォームの再構築を決定しました。BrexのエンジニアリングマネージャーであるTim Foster氏は次のように述べます。「過去数か月間、経費管理スタック全体を根本的に再考しました。 段階的な改善ではなく、経費を提出する従業員から、経費を承認するマネージャー、経費の監査を行う財務チームそしてプロセス全体の最適化に至るまで、あらゆるタッチポイントを検討しました。 中心的な問いは、AIを活用して顧客の基幹的な財務ワークフローをどのように飛躍的に改善できるか そして既存のワークフローにAI機能を単に追加するだけではなく、AIを中核に据えてこれらの体験を根本から再構築するするにはどうすべきか、というものでした。」

Claudeは、Brexが再構築したプラットフォームのいくつかの重要な機能を担っています。

• 対話型の経費申請：この新しい支出者体験により、経費管理に関する従業員の負担はほとんどなくなります。このシステムは、カレンダーの予定、位置情報、支出パターンなどのコンテキスト情報を分析し、手動入力なしで、経費を自動的に分類し、コンプライアンスルールを適用します。 これにより、経費管理は煩雑な作業からシームレスなバックグラウンドプロセスへと変革し、管理作業を削減しながらコンプライアンスを向上させることができます。
• AIを活用したポリシー解釈：財務チームは複雑なルール設定の代わりに、ポリシー文書をシステムに直接アップロードできます。 AIはこれらの文書をインテリジェントに解釈するため、ポリシーを技術ルールや意思決定木に変換する必要がなくなります。
• インテリジェントな経費監査：AIファーストのワークベンチは、関連経費を積極的にグループ化し、ポリシー上の懸念事項にフラグを立て、推奨される対応策に伴う説明を提供することで、財務担当者の経費審査方法が変革されます。これにより、各審査がより有意義かつ効率的になります。
• ポリシーガイダンス：このシステムは、従業員が支出を行う前に関連するポリシー情報を提供し、事後の違反行為でなく事前対応を実現します。 これにより、コンプライアンスへの積極的なアプローチが構築されポリシー違反の削減と同時に従業員体験の向上を図ることができます。

インテリジェントな自動化による財務業務の変革

BrexのAIアップデートは、財務チームと従業員に大きな影響をもたらしました。現在、Brexは経費処理の60%を自動化しており、領収書と経費書類の自動生成により顧客は毎月約73,600時間を節約しています。

これらの恩恵は大きな財務的影響をもたらし、顧客全体で年間総額で5,650万ドルの給与コスト削減をもたらしています。個々の財務チームにおいては、領収書と書類を自動生成することで、年間で平均21,500ドルの給与コスト削減と年間204時間の時間節約が実現します。

時間とコストの削減に加え、BrexのAI主導のアプローチは、より効果的なコンプライアンス環境を構築します。 業界標準の経費コンプライアンスは約70%ですが、Brexの顧客は同94%を達成しています。 これは、AI主導の異常検知技術により実現可能です。同技術は取引の100%を審査し、明細項目レベルでポリシー違反の支出を特定します。

Horn氏は次のように述べています。「当社の目標は、従業員が財務の専門家である必要なく適切なビジネス購入を行っていることを理解し、確信を持って支出できるよう支援することです。 「正直なところ、社内の支出ポリシーを最初から最後まで読む従業員はほとんどいません。 AIは、支出が発生する前に適切なタイミングで状況に応じたガイダンスを提供することで、この体験を変革できます。 事後的にポリシー違反行為のフラグを立てるのではなく、従業員が必要とするまさにその瞬間に関連するポリシー情報を積極的に提供することが可能です」

このアプローチにより、財務チームはすべてを精査するのではなく例外に集中できるようになり、信頼に基づく拡張可能なシステムを構築できます。 フォスター氏は次のように述べています。「デフォルトとしてすべてを精査するよりも、例外的なケースに焦点を当てた行動を望んでいます」

財務業務におけるAIファーストの未来を構築

Brexは、AIと財務業務が融合する接点でイノベーションを進めており、AnthropicおよびAWSと緊密に連携し、支出管理におけるClaudeを活用した機能を拡張しています。 同社のビジョンは単なる自動化を超えて、AIが財務業務を主導する新しいパラダイムを創出することにあります。

Horn氏は次のように述べます。「多くの企業と同様に、当社も既存のワークフローにAI機能を追加することで強化を進めています。「しかし、私たちが目指している未来は、より変革的なものです。お客様が当社の従来のインターフェイスをまったく操作する必要がなくなる世界です。その代わり、お客様のニーズを理解し、財務業務を自動的に処理するAIと、単に対話をするだけで済むようになります。たとえば、企業のポリシーやSOPを深く理解することで、明確な支出事例に対するすべての審査と監査業務を完全に自動し、判断が必要なグレーゾーンのみを担当者にエスカレーションして判断を求めることができます」

AnthropicとAWSとのこの連携は、AIの進化に伴い、支出管理における差別化価値はソフトウェア機能からBrexが特に優れているコンプライアンスの専門知識、パートナーシップ、インテリジェントな自動化の分野に移行するという同社の信念と合致しています。

「AIがソフトウェア開発をより身近なものにするにつれ、技術的な機能だけではソリューションの差別化は困難です。」とHorn氏は述べます。 「真に重要となるのは、コンプライアンスに関する当社の専門知識と戦略的連携です。これはAIが再現できないも要素です。 これらはまさにBrexが優れている分野であり、当社が支出管理分野で引き続き主導的立場を維持する理由です」