カナダに本社を置く大手通信技術企業であるTELUSは、Claudeを日常のワークフローに統合することでチームメンバーに力を与えています。これにより、組織全体で前例のないレベルの実験、創造性、生産性が発揮されています。
「わずか数年の間に、57,000人のチームメンバーの働き方を変革しました。各チームは13,000を超えるカスタムAIソリューションを構築し、エンジニアリング部門はコードのリリース速度を30%高速化しました。 Anthropicとのパートナーシップは非常に有益なものでした。 信頼性が高く倫理性を備えたAIを構築するという同社の取り組みは、信頼と安全性を維持しながらAIへのアクセスを民主化するという当社のビジョンと完全に一致しています」とTELUSの最高AI責任者であるJaime Tatis氏は述べます。
TELUSにおけるAI導入による主要成果。
TELUSは、電気通信、医療、農業、セキュリティ、デジタルソリューション分野で世界で2,000万人の顧客にサービスを提供する企業として、数百もの専門的で大きく異なる技術システムからなる複雑なエコシステムで事業を展開しています。 この断片化は当初、イノベーションとコラボレーションに対する障壁を生み出しました。
TELUSの上級エンジニアであるJustin Watts氏は次のように説明します。「各演奏者が異なる言語を話す中で、交響曲を指揮しようとすることを想像してみてください。「生成AIが登場する前は、これらのシステムを連携させるには複雑なカスタム統合が必要であり、そのコストと時間は膨大なものでした。AIは、今やシステム間の汎用翻訳者として機能し、異なる言語を理解し、以前は不可能だった連携を構築しています。 この画期的な進歩により、サイロ化が解消され、チーム間の協働と情報共有の方法が変革されました」
生成AIが最初に市場に登場した当初、TELUSは単に公開されているAIツールを採用するのではなく、現在、同社のAI変革の基盤となっている自社開発の生成AIプラットフォーム「Fuel iX」を構築しました。 Fuel iXは「選択を第一に」という理念に基づいて設計され、チームメンバーがさまざまなタスクに対応する最先端のAIモデルを選択し、安全かつ柔軟にアクセスし活用できる環境を提供しています。この選択肢には、Anthropicが開発したClaudeモデルも含まれます。
Watts氏は次のように述べます。「TELUSが「Fuel iX」を通じて複数のAIモデルへのアクセスを社内チームに提供した際、Claudeが圧倒的な選択肢となりました」「このプラットフォームでは毎月1,000億トークンを処理しており、最も複雑で創造的なタスクの一部では、Claudeが最適なモデルとして活用されています」
社内で「Fuel iX」は目覚ましい成功を遂げたため、TELUSはこれを顧客にも提供することにしました。「Fuel iX」を搭載したTELUSの生成AIカスタマーサポートツールは、世界で初めてISO 31700-1「プライバシー・バイ・デザイン」認証を取得しました。これは、TELUSがデータ保護とユーザーの信頼を最優先に据えたAIソリューションを、基礎から構築するという取り組みを反映したものです。
Claudeの魅力は、既存のワークフローにシームレスに統合できる点と、強力な、指示に従う能力でした。 開発者は、GitHub Copilot、Cline、VS Codeなど、お気に入りのツール内でClaudeを使用できます。 Watts氏は次のように説明します。「開発者は、すでに愛用しているツールを捨てて、まったく新しいものに切り替えることを望みません。 Claudeはこれらの既存のツールを強化し、創造的ななプロセスを妨げることなく、より強化します」
TELUSは、倫理的かつ人間中心のAI活用におけるグローバルリーダーとして、同様の理念を持ちテクノロジーに取り組む他の組織との提携を誇りしています。 TELUSと同様、Anthropicもまたデータアーキテクチャ、ガバナンス、ワークフローに責任を組み込むことによってのみ成功を達成できることを理解しています。 今年初め、TELUSとAnthropicはともに、世界で初めて広島AIプロセス(HAIP)報告フレームワークへの提出を行い、G7 AI行動規範に沿った安全で信頼できるAI開発のための実証済みのアプローチとベストプラクティスを共有しました。
TELUSのClaude実装には2つの重要な側面があります。 開発者はソフトウェア開発において、GitHub Copilot、Cline、Claude Codeなどのツールを通じてClaudeを活用していますが、各部門のチームメンバーは「Fuel iX」を介して特定のニーズに合わせたカスタムAIソリューションを構築しています。
その結果は目覚ましいものでした。チームメンバーは、人事ポリシーへのアクセス、リアルタイム翻訳、ブランドガイドライン、会話コーチ向けのカスタマイズされたAIソリューションを構築しました。
この規模の草の根的なイノベーションは、Model Context Protocol(MCP)によって部分的に推進されました。Watts氏はMCPを「ここ数十年でTELUSに影響を与えた最も革新的なテクノロジー」と表現しています。 MCPにより、Claudeは以前は互換性がなかった業務システムを連携できるようになり、チームで構築したこれらのソリューションの統合を実現不可能にしていていたであろう複雑な作業を排除しました。
Claudeは、TELUSの「誰もが構築者になるべきだ」という理念を願望から現実へと変えました。 以前は、画期的なアイデアを持つチームメンバーが技術的な障壁に直面し、開発チームからの数か月間におよぶサポートを必要とすることが多くありました。今や、イノベーションはリアルタイムで起こっています。
AIの導入により、エンジニアリングチームはコードのリリース速度を30%向上させ、開発から計画立案、リソース配分に至るまでのボトルネックを解消しています。一方、社内のチームメンバーは、ビジネス成果を促進し、顧客体験を向上させる独自のAIソリューションを構築しています。 何十年もコードを書いたことがないシニアリーダーが今や日常業務を合理化するSlackアプリケーションを開発するようになり、中にはダジャレを組み込んだものもあるほどです。
Watts氏は次のように述べます。「AIへのアクセスのこのような民主化は波及効果を生み出します。あらゆるチームメンバーがイノベーターになれるようになると、当社のお客様は製品やサービスの改善から大きな恩恵を得ることができます」
TELUSがClaudeとの統合を、財務、計画、プログラム管理などの業務分野へ拡大するに当たり、そのプロセスには倫理基準に沿ったパートナーを慎重に選択することも含まれ、責任あるイノベーションへのコミットメントが引き続き指針となっています。
「私たちは、Anthropicの成功を願っています。なぜなら責任あるAI開発が市場で勝利を収めるべきだと信じているからです」とWatts氏は述べます。このコミットメントは、同社の事業だけにとどまりません。 TELUSは、「Fuel iX」を通じてカナダのあらゆる規模の企業に力を与えることで、同国のAIの未来を積極的に形作り、全国的に普及を推進しております。「Fuel iX」は、安全でセキュアで柔軟なソリューションであり、Claudeのような最先端モデルへのアクセスを提供し、AIの可能性を解き放ちます。
TELUSは将来を見据え、Claudeが複雑な組織全体でシームレスな情報の流れを実現し、これまでにないコラボレーションの機会を生み出し、チームメンバーがより生産性を高め、ビジネス上の課題を解決するための新たな革新的な方法の発見を可能にすることを思い描いています。すでに13,000のカスタムAIソリューションが導入され、その数はさらに増え続けています。私たちのビジョンは、あらゆるレベルでAIが人間の創造性を高める仕事環境を創出し、大企業が自らの基本理念を損なうことなく変革的なテクノロジーを受け入れられることを実証していくことです。